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「想像のご近所づきあい」としての絵画
ワタナベリョウの作品に対してまず感じるのは、「他者へのまなざしのやさしさ」である。
それは、どこかとぼけた表情のキャラクターが見せるしぐさや、控えめながら意志を持った佇まいに宿っている。
彼が描くのは、現実には存在しない不思議な生き物たちだが、その立ち居振る舞いには、私たちが街で出会う人々に似た雰囲気がある。
だからこそ、観る者は「このキャラクターは自分のご近所にもいそうだな」と自然に感じるのである。
ワタナベの作品におけるユニークさは、単にキャラクターを創作するというレベルにとどまらない。
それらを「世界」として構築し、画面内に生態系のような空間を作り出している点にある。
彼がその空間を「頭の中のビオトープ」と表現するように、そこには個体としてのキャラクターだけでなく、それぞれの関係性や、気候、空気感すら感じさせる柔らかな世界が構築されている。
つまりワタナベの絵画とは、「キャラクター絵」として消費されるものではなく、もっと広義の意味での「絵画的空間」を意識的に作り込んだものである。
色彩、配置、構図——すべてが丁寧に制御され、しかしそのうえで軽やかに笑っている。まるで「よく設計された冗談」のように。
ポップ・カルチャーという養分と制作の手つき
ワタナベの作品におけるもう一つの特徴は、ポップ・カルチャーとの親密な関係性である。
彼のインスピレーションの源には、アニメや映画、玩具などの大衆文化がある。だが、その引用は決して表層的ではない。
むしろ「吸収と変換」が徹底されている。キャラクターたちは何かのパロディではなく、彼自身の頭の中で長い時間を過ごしてきた「内製された住人たち」であり、それらを支える色彩設計やマチエールにも、ポップ・アートやストリート・アートのDNAが濃く流れている。
技法としてはアクリル絵具が主で、背景には水彩を使用することで、キャラクターと空間の分離と調和を両立している。
この手法はアニメのセル画構造を思わせるが、そこにも「ポップ・カルチャーの影響を受けつつ、それを咀嚼して新しい表現に置き換える」という構造がある。
つまりワタナベは、技術的にも構造的にも「ポップから遠くないが、完全にそれとは異なる地点」に作品を着地させているのである。
その制作態度にも注目すべきである。絵の制作は「ラクガキの延長」と語りつつも、実際には画面に何層にも色を重ね、線を起こし、丁寧に整えていくプロセスがある。
制作における反復や修正は、意図的な軽やかさの裏にある真剣さを示している。
これは「楽しいことだけをやる」という姿勢と、「作品として成立させるための構造的設計」との間で、極めて絶妙なバランスをとっている証でもある。
絵画における「共生」というテーマ
ワタナベの作品を通じて浮かび上がる大きなテーマの一つに、「共生」がある。
これは単なるエコロジー的な意味ではなく、「異なる存在が同じ空間を共有する」ということの価値についてである。
彼の絵画のなかには、強い者も弱い者もいない。支配する者もされる者もいない。ただ、そこに「いる」だけのキャラクターたちが、それぞれの時間を生きている。
それは、まさに「ビオトープ的絵画」である。
たとえキャラクターが人間ではなくても、その眼差しには他者を理解しようとする気配がある。
観る者はそこに「自分が入ってもいい世界」を感じるのだ。つまりワタナベの作品には、私たちが現実世界でなかなか得られない安心感がある。
ちょっと奇妙で、少しだらしなくて、だけど決して否定されない世界。これは現代においてとても希少である。
そしてこの「否定しないまなざし」こそが、作品の大きな魅力であり、同時に社会に対する優れた批評性でもある。
見た目のコミカルさに油断してはならない。そこには、現代社会における分断や排除へのアンチテーゼが、そっと忍ばせてあるのである。
あなたの壁に、小さな共生の世界を
ワタナベリョウの作品を所有するということは、ただのインテリアではない。
そこには小さな生態系があり、時間が流れ、キャラクターたちが静かに暮らしている。
彼らは、あなたの生活の一部になり、少しずつ心の居場所を広げてくれるだろう。
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ワタナベリョウ Ryo Watanabe ▶ 作品ページはこちら |
Schedule
Public View
4/19 (sat) 11:00 – 19:00
4/20 (sun) 11:00 – 17:00
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